2022年10月に基準が改正「長期優良住宅」
家づくりを進めていくと、よく耳にする「長期優良住宅」という言葉。簡単にいうと、将来に渡って、長く住み続けることができると国に認められた住まいのことです。*1
2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、2022年10月から長期優良住宅の認定基準が改正されることに。住宅の省エネルギー性能を一層向上させることが必要とされる中で、従来より高い省エネ性能が求められることとなりました。
今回の改正点は、省エネルギー対策の強化
改正前の基準においては、断熱等性能等級4のみが求められており、一次エネルギー消費量性能は求められていませんでした。
一次エネルギー消費量とは、建築物のエネルギー消費性能を評価するときの指標の一つで、建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量のこと。 この数値が小さいほど省エネの程度は大きくなります。
2022年10月の改定においてこれらの水準が見直され、省エネの基準をZEH(ゼッチ)相当に制定。今回の改定では、住宅性能標示制度の断熱等性能等級5および一次エネルギー消費量等級6と引き上げられました。
具体的には、外皮平均熱貫流率(UA値)が、これまでの建築物省エネ法に基づく省エネ基準である0.87以下から、ZEH相当水準となる0.60以下に(数値はいずれも6地域の場合)。
外皮平均熱貫流率(UA値)は、住宅の室内から床(基礎)、壁(外壁)、天井(屋根)、開口部(窓)などを通して、外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した数値。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性能が高いとされています。この省エネ性能をより一層向上させる改定により、政府の進める2050年カーボンニュートラル、温室効果ガスの排出ゼロの実現に近づくことになります。
住まいの性能は、住まいそのものの寿命だけでなく住む人の安全や健康寿命に大きく影響を与えます。高断熱・高気密の住宅は、温度差やカビなど、心身に対するさまざまなストレスや健康リスクを軽減。定期的にメンテナンスを施しながら、50年、100年と長持ちさせることができ、子ども世代、孫世代と世代を超えて受け継いでいける快適で健康的な住まいが長期優良住宅です。国の厳しい条件をクリアした長期優良住宅は、財産としても資産価値の高い住まいといえます。
これまで一般的だったつくって壊すスクラップ&ビルド型から、良質なストック(既存住宅)活用型の社会へと転換していくこれからの時代。次世代や地球環境に配慮した、長く快適に暮らせる家づくりを目指しませんか。
*1 長期優良住宅
国が定めた耐震性や耐久性能などの審査基準をクリアした、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」として認定されたものを指します。2009年に新築を対象とした認定がスタートし、2016年には既存住宅の増築・改築を対象とした認定も開始。
*2 ZEH(ゼッチ)
Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。住まいの断熱性能や省エネ性能を向上し、太陽光発電などで暮らしに必要なエネルギーを作ることにより、空調・給湯・照明・換気など、年間の一次消費エネルギー量をおおむねゼロ以下にする住宅のこと。