DANRAN COLUMN DANRAN人のコラム

和歌山県第1号の「LCCM住宅」の認定を目指して

私たちと施主さんの想いが合致して「LCCM住宅」に挑戦

浅井良工務店は今、和歌山市内に建築中の戸建て住宅で、和歌山の地場企業として第1号となる「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」の認定を目指しています。

「パッシブデザイン」「SE構法・耐震」「高気密・高断熱」「素材選び」「保証」で、環境にも人にもやさしく、快適に長く暮らせる住まいを提案している私たち。

環境問題や社会課題への関心が非常に高い施主さんが浅井良工務店の家づくりに興味を持ってくださり、和歌山県ではまだ前例のない、省エネルギー+創エネルギーで、建築から居住、改築、解体までを含めて発生する二酸化炭素をマイナスにするという新しい評価基準に適合した「LCCM住宅」を建設することに。

「LCCM住宅」は、全国でもまだ認定登録数が200棟にも満たず、評価基準を満たす建物が建てられる建築会社も限られています。

国が省エネ住宅の標準化を目指す理由

“憧れのマイホーム”から“私たちのマイホーム”へと計画が具体化し、インターネットで情報を集め、モデルハウスを見学し始めると、皆さんわりと早い段階で、イマドキの家づくりは耐震に加え、“省エネ”がスタンダードであることに気づくのではないでしょうか。「長期優良住宅」「認定低炭素住宅」「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」…、よく目にするキーワードですよね。

でも、同じように快適性と省エネルギーを両立する「LCCM住宅」は、つい最近、国が普及を目指し始めたものでまだまだ浸透していません。世界規模での地球温暖化対策が求められている昨今、「パリ協定」で掲げた温室効果ガスの削減目標やカーボンニュートラル・脱炭素社会を実現するために、政府や住宅分野での省エネ化をより一層推し進めようとしています。

2021年4月に住宅の省エネ説明が義務化され、2025年度以降はすべての新築住宅に省エネ基準適合の義務付けも検討されています。

LCCM住宅とZEHの違い

では、「LCCM住宅」ってどんな住宅なのか。ものすごく端的に表現すると、生涯の二酸化炭素の収支をマイナスにする“究極の省エネ住宅”。ちなみに国がこれまで標準化に取り組んできた「ZEH」は、年間の一次消費エネルギー量の収支を±0(プラスマイナス・ゼロ)にする“極上の省エネ住宅”。

究極と極上…、その違いは、「生涯と年間」「マイナスと±0」なのですが…。少々言葉足らずなので、もう少し具体的に説明しますね。

「高断熱・高気密で省エネ」「高効率な設備でエネルギーを抑える」「太陽光発電などでエネルギーを創る」というのは「LCCM住宅」も「ZEH」も共通項目ですが、エネルギーを創って、消費を抑えて「LCCM住宅」は、日常生活に加え、建設時・解体時も含めて二酸化炭素の排出量をマイナスにしなければいけません。

一方、「ZEH」 は、日々の暮らしで使う電力量を年間で±0にするという定義。それぞれの省エネ性能を“究極”と“極上”で例えた理由をわかってもらえたでしょうか。

建設・廃棄時の二酸化炭素量をマイナスにするということは…

でも、ちょっと疑問に思いません?

電力は消費電力量が計算できるし、太陽光発電などでどれくらい発電しているのかも表示されるので「±0」というのはなんとなく理解できるけど、そもそも、二酸化炭素排出量は目に見えないし、建設時や解体時のものまで日々の暮らしでマイナスにできるのかと。

もちろん、トラックを使わずに運搬、建設機械を使わず建築・解体というのは不可能なこと。二酸化炭素排出量は、計算上で“帳消し”いやマイナスにするわけですが、これがちょっとやそっとのことで達成は不可能。

なぜならば、一般的な広さの住宅で、太陽光発電システムや家庭用燃料電池、ガスコージェネレーションなどを利用して創り出すエネルギー量には限界があるからです。

だからその分、居住時のエネルギー消費量を極限にまで抑えることが求められるわけで…。「創エネ>省エネ」を長年繰り返して、建設時、解体時の分も償却していかなければいけないので、当然のことながら、性能を維持したまま暮らし続けられる耐久性も必要です。

そこに、浅井良工務店が得意とする「パッシブデザイン」「SE構法」が生きてくるのです。

2021.09.24
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