回想自転車旅行記~17
1969年 1月元旦 水曜日 PM 2:00 10℃
8時出発、少し寒いが、「馬力を出して行こう」。 今日は、元旦だが出足に頑張れば後が楽だからナ。 我が家では親父やお袋さん達は良い正月を迎えている事だろう。 僕もゆっくりとイスタンブールの正月を楽しむつもりだったが、都会に落ち着くと、滞在費がかさむのであまりノンビリできない。 正月早々馬鹿みたいにエッチラ・オッチラやっているのは、僕だけかと思ったがなかなかトルコ人も良く働くとみえ、放牧民の叔父さんは羊を追いかけ、スタンドの親父は居眠りしながらも店番、百姓のお爺さん馬車に乗って、正月は何処吹く風と働いている。 今日も海岸沿いに走っている、地中海の色はとても美しい。濃紺・群青色・紺碧・藍‥太陽に照らされて色が変わる。 波が無いべた凪で湖水のようだ!岩壁より見ると海底が綺麗に見える。 今日、MALKARAの街に泊まる。 肉屋のおじさんが肉を隣の食堂へもって行き焼いて食べさせてくれる。久しぶりの肉だ~!これが僕の正月メニュー。
1月2日 木曜日 雨のち雪 PM2:00 10℃
朝から雨が降っているのでもう一泊このホテルでするつもりでいたが、どうも落ち着く気になれず出発することにする。 雨の中走るのも楽ではないがそのうち止むだろう、と思いきや10Kmほど走った辺から霧が出てきて急に気温が下がってきた。
周りの木々を注意して見ると樹氷ができている。 山に差し掛かったせいだろうと思っていたが、ユーゴスラビアからの北風のせいらしい。雪も少し積もっている、行けば行くほど多くなってきた!!道路上は30cmもある。 ギリシャへの国境が近いので早く行きたいが雪のため12Km/hでしか走れない。 予定より3時間遅れでギリシャ側に入る。 国境の村の食堂へ体を温めようと入っていくと、ギリシャの兵士が居て、ワインや焼き肉をご馳走してくれた。さらに僕の今夜の寝床まで世話してくれた。 本当に何処へ行っても皆の親切には痛感する。